体重わずか150gの小さな旅人たち。インドからアフリカへ渡るアカアシチョウゲンボウの壮大な冒険

インド北東部のマニプル州タメンロン地区で、科学者たちが驚くべき「旅」を追跡しています。追跡の対象は、体重わずか150gほどしかない小型の猛禽類、アカアシチョウゲンボウです。

毎年11月になると、数千羽ものアカアシチョウゲンボウがナガランド州やマニプル州のねぐらを飛び立ち、インド本土を越えてアラビア海上空へと向かいます。彼らが目指すのははるか数千キロ彼方のアフリカ大陸。この過酷な飛行には、空港ラウンジのような休息所など存在しません。科学者たちは、この小さな鳥がなぜこれほど長距離のノンストップ飛行を成し遂げられるのか、その謎を解き明かすために衛星タグを用いた追跡プロジェクトを行いました。 調査の結果、重要な鍵となっていたのはインド北東部での「食事」でした。モンスーンの時期が終わると、この地域ではシロアリが大量発生します。鳥たちは出発前にここで栄養を蓄える「過食」を行い、脂肪の層を厚くすることで、食料も水もない海上の長旅を乗り切るためのエネルギー源として活用しているのです。実際に、追跡された個体の中には6日間で約6,100kmもの距離を移動したものも確認されています。 かつてこの地域では、渡り鳥である彼らの狩猟が社会問題となっていましたが、現在は地元コミュニティと研究機関が協力し、彼らの命をつなぐ中継地を守る活動が定着しています。アジアで生まれ、インドでエネルギーをチャージし、アフリカで冬を越す。この小さな鳥たちの命がけの渡りは、地域を超えた「人の絆」によって、今も静かに守られ続けています。










