カイロの歴史的シナゴーグに響く音楽の架け橋:失われゆく伝統を未来へ

エジプトの首都カイロの中心部に佇む「シャアール・ハシャマイム・シナゴーグ」。ヘブライ語で「天国の門」を意味するこの歴史的な建物は、かつて多くのユダヤ人が集い、祈りを捧げた場所です。現在、エジプトには常駐のラビ(宗教指導者)がおらず、公式な礼拝が行われることはほとんどありませんが、この場所を守り続ける人々の意志は今も絶えていません。

このシナゴーグの維持管理を担うのは、非政府組織「ドロップ・オブ・ミルク協会」です。1921年に設立された同団体は、エジプトのユダヤ文化の保存と、宗教の枠を超えた対話の促進を目指しています。協会の代表を務めるマグダ・ハルーン氏は、コミュニティの「心」とも言える存在です。かつてこの地を訪れた執筆者が、偶然にもユダヤ教の新年である「ロシュ・ハシャナ」の儀式に出会った際、そこには公式な礼拝とは異なる温かな光景がありました。ラビの不在により、参加者が自ら祈りを捧げるという形ではあるものの、祭礼を告げる角笛の音が響き渡ると、その場所には確かに歴史と現代をつなぐ確かな鼓動が刻まれていました。











