視力を失う不安をゼロに。インドの医師が農村部で続ける「動く眼科」の挑戦

インドのグジャラート州で、眼科医のバヴィン・パテル博士が取り組む活動が、多くの人々に光を取り戻しています。農村部では、視界のぼやけを「老化だから仕方ない」と諦めていたり、感染症を家庭療法で済ませようとして手遅れになるケースが後を絶ちません。こうした現状を打破するため、パテル博士は2008年に「スワミ・ヴィヴェーカーナンダ・ネトラ・マンディール病院」を設立しました。

病院の活動は、病院内での診療にとどまりません。月に約40回も村々へ出向き、移動式の検診キャンプを開催しています。

写真のように、村の寺院などを借りて行われる検診では、8〜10人のチームが住民を診察し、その場で眼鏡を処方したり、白内障の手術が必要な患者を専用車両で病院へと搬送したりしています。治療費は実質無料で行われており、これまでに行った手術は3万件を超えました。 さらにパテル博士は、視覚障害が家族全体の生活に影響を与える点にも着目しています。2025年からは、視覚障害を持つ人々が自立した生活を送れるよう、パソコン操作やスマートフォンの活用法、移動訓練などを指導する研修センターも運営。この活動を通じて、ある子どもは視力を守り、ある働き手は再び稼ぐ力を取り戻し、家族の尊厳が守られています。「もし一つの寺院での検診が、誰かの人生を変えられるなら」――博士の挑戦は、インドの隅々の村へ届くまで止まることはありません。










