ヒマラヤの麓で復活する「伝統の養蜂」。女性たちが守り抜くミツバチとの共生

インド北部に位置するヒマチャル・プラデーシュ州カングラ地区のバドサール村。雄大な雪山を背景にしたこの地では、かつて村の家々の壁には「ダルニ」と呼ばれるミツバチのための小さな隙間が設けられており、人々とミツバチはごく自然に共生していました。しかし、近代化や農薬の影響でその関係は途絶えつつありました。 そんな中、2018年に友人同士で立ち上げられた団体「テネイシャス・ビー・コレクティブ」が、失われかけたこの古き良き関係の再生に取り組んでいます。彼らは単に効率的な生産を目指すのではなく、ミツバチの健康を最優先した倫理的な養蜂を推進。ハチミツの収穫は巣の2〜3割に留め、残りはミツバチの冬越しのための食料として大切に残しています。 活動の核となっているのは、地域で暮らす女性たちの存在です。

写真のように、彼女たちは養蜂作業だけでなく、ミツバチから得た蜜蝋(ビーワックス)を使い、リップクリームやキャンドルなどの加工品作りでも重要な役割を担っています。「村の仲間と共に働き、語り合う時間は温かく、毎日ここに来るのが楽しみ」と語る参加女性もおり、この取り組みは彼女たちにとって大切な社会との繋がりや収入源となっています。 現在では45人以上の養蜂家と250人以上の農家がこのネットワークに参加しており、単なる産業としてではなく、生態系と村の暮らしを調和させるモデルとして注目されています。彼らは観光客向けに、活性化したミツバチの巣の上に寝そべることで心身を整える「アピドーム」体験なども提供しており、この地域ならではの持続可能な未来が、小さな村から着実に芽吹いています。










