ベトナム・クン村の日常:緑の谷間で守り継がれる静寂と伝統

ベトナム北部のクアンビン地区にある「クン村」は、緑豊かな森と棚田に囲まれた穏やかな小集落です。ハザン省の観光地のような派手な絶景はありませんが、都会の喧騒から離れたこの村には、懐かしい日本の田舎を思わせるような、ゆっくりとした時間が流れています。

村の生活は自然とともにあります。住民たちは竹林を抜け、未舗装の小道を歩いて畑へ向かい、稲の収穫や落花生の栽培に精を出します。

敷地の多くは森林保護区に指定されており、先祖代々、森と共生することで暮らしを守り続けてきました。特に地域の伝統建築である高床式住居には、地元のヤシの葉が屋根材として活用されており、その涼やかな日陰は農作業の合間の休息場所としても欠かせません。 また、村の近くにある「ボミ洞窟(別名:ダムサン洞窟)」は、まさに自然が作り上げた芸術作品です。洞窟内には澄み切った地下湖が広がり、地域の貴重な水源となっています。夏場でも外気温より5度ほど低いひんやりとした洞窟内には、風と水の動きで削られた幻想的な鍾乳石が並び、訪れる人を魔法の世界へ誘います。 タイ族、ダオ族、ヌン族、ラチ族という4つの民族が暮らすクン村では、それぞれの伝統行事や食文化も大切に受け継がれています。色鮮やかなおこわや地元の川魚料理を囲み、竹かごを編む人々の姿がある日常。観光地化がまだ進んでいないからこそ残るこの素朴な美しさは、訪れる旅人の心に深い癒やしを与えてくれます。










