地震に負けない「パッチワーク」の家?インド・シムラーで守り継がれる古代建築の知恵

インド北部のヒマーチャル・プラデーシュ州に位置する都市シムラーで、200年以上の歴史を持つ伝統建築「ダジー・デワリ(Dhajji dewari)」が再び注目を集めています。この地域は地震活動が活発なことで知られていますが、かつてこの地で愛用されていたこの建築技法は、驚くべき耐震性を備えていました。 「ダジー」とはペルシャ語で「パッチワーク」を意味します。その名の通り、木製の柱や梁の間に板を組み込み、泥や牛糞、松葉を混ぜた材料で壁を塗り固める工法です。釘を一切使わない構造のため、地震の際には建物が崩壊するのではなく、揺れに合わせて柔軟に動くことで倒壊を防ぐのです。

この希少な建築を守り抜いているのが、かつての祖先の家を改装し、現在はホームステイ「サニーミード」を運営するマダヴィ・バティアさんです。彼女は2010年にデリーでの企業生活を辞め、荒れていた生家を「持続可能な場所」へと再生させる決意をしました。 改装にあたって彼女がこだわったのは、セメントや鉄を一切使用しないこと。現代の建築が「硬いだけの構造」で地震に弱くなっていく中、昔ながらの技法を再現できる職人を懸命に探し出し、伝統の integrity(完全性)を維持しました。

現在、サニーミードは雨水の貯留やグレーウォーターの再利用、自家菜園での食材確保など、環境負荷を最小限に抑える試みが行われています。マダヴィさんは雨音を聞きながら、「この家はダジーの技法に守られているから大丈夫」と誇らしげに語ります。近代化の波の中で消えつつあった「パッチワークの家」は、今、環境と共生する賢い知恵として新たな価値を見出しています。
編集部より
古の知恵、侮りがたしっ










