消えゆく農村の「生の声」を記録せよ。夫婦がカメラ片手に駆け巡る1,100の村の物語

中国の広大な田舎道を、一台の車とカメラを持って駆け巡る夫婦がいます。趙宇順(ジャオ・ユーシュン)さんと袁真真(ユアン・ジェンジェン)さんは、2021年からこれまでに1,100以上の村や町を訪れ、そこで出会った人々との何気ない会話をショートドキュメンタリーとして記録し続けています。

もともとは都市での生活に疲れ、「機械の歯車」のように働いていた二人がこの活動を始めたきっかけは、自分たちの置かれた状況を「北へとさまよい歩く象の群れ」になぞらえた一本の動画でした。それ以来、都市から取り残されがちな農村の高齢者たちの生活や、変化し続ける中国の地方の姿を収めることに情熱を注いでいます。 彼らの活動は、農作業の合間の立ち話から始まります。収穫されたナシについて尋ねると、農家はかつての労働者としての人生や、若者が去った後の村の厳しい現実を語り始めます。こうした日常の記録は、農村を「理想郷」や「貧困の地」といった外部からのステレオタイプで見るのではなく、そこに生きる人々の「生の声」として伝える貴重なアーカイブとなっています。 経済的には決して楽ではなく、借金を抱えながらの挑戦ですが、それでも彼らが走り続ける理由は明確です。「100年後の誰かが、私たちの動画を見てこの時代の農民が何を考えていたのかを知ることができる」。

効率化が進む現代社会で、二人は消えゆく人々の物語という「記録」を残すため、今日もまた次の村へと向かっています。










