「世界の果て」で見つけた静かな暮らし。ロシアの辺境・ガリに残る伝統と人々の絆

ロシア・ウラル地方の最北端に位置する小さな集落「ガリ」。かつては囚人の強制労働による開拓地として知られたこの町も、今では静寂と豊かな自然に囲まれた穏やかな場所へと変貌を遂げました。

この地には、ソ連時代からの古い言い伝えである「ウラルには3つの穴(辺境)がある」という言葉を逆手に取り、自分たちの町を誇り高く愛する人々が暮らしています。地元の郷土博物館の館長を務めるアンナ・サブツォヴァさんは、町に伝わる歴史と文化の語り部です。彼女によれば、ガリは1623年に創設された歴史ある集落で、付近には東ウラルで最も規模の大きいマンモス等の古生物の化石が見つかる遺跡も存在します。 町の経済を支えていたのはかつての森林伐採とそれに伴う労働キャンプでしたが、現在ではそれらも閉鎖され、住民たちは川の恵みや家庭菜園といった、自給自足に近い穏やかな生活を送っています。特筆すべきは、住民同士の強い信頼関係です。彼らは家の鍵を玄関先に置いたまま外出することもあり、都会では考えられないような「隣人との信頼」が今なお息づいています。

また、地元出身のフェドール・リュコフさんのような活動家たちが、町の魅力を伝えるための体験型観光プロジェクトを推進しており、手作りの遊歩道や観光客向けの宿泊施設など、新たな風を吹き込もうとしています。過酷な自然環境に直面することもありますが、住民たちは「ここは穴場ではなく、かけがえのない大地」として、今日も変わらぬ生活を守り続けています。











