インドの「チャツネ」は無限大?230種類以上のレシピを収集した食文化研究の旅

インドの家庭料理に欠かせない調味料「チャツネ」は、地域や家庭によってその姿を大きく変える存在です。インドの食文化研究家であるルシナ・マンショウ=ギルディヤル氏は、この多様な食の知恵を記録しようと、2年以上の歳月をかけてインド各地を巡る調査を行いました。 調査の結果、集まったレシピはなんと230種類以上。チャツネと一口に言っても、作り方は叩く、すり潰す、煮る、発酵させるなど様々で、材料も葉物や種、ナッツ、花、果物、さらには調理で出た残り物まで多岐にわたります。

その土地の気候や地形によっても中身は変化します。例えば、ケララ州のナツメグの果実を使ったものや、ナガランド州の発酵大豆を使ったもの、チャッティースガル州の赤アリを使ったチャツネなど、地域ならではの驚くような食材が活用されています。これらは現代でいう「ゼロ・ウェイスト・クッキング」の概念が定着するずっと前から、人々の生活に根付いていた知恵でもあります。 今回の調査で、ルシナ氏が改めて感じたのは「インドの食は決して一つの枠にはまらない」という事実でした。各地で聞き取りを重ねる中で、空港の入国審査官から家族秘伝のレシピを教わるような予期せぬ出会いもありました。ルシナ氏がまとめたのは、単なる料理の記録ではなく、地域ごとの風土や家族の思い出が詰まった、インドの広大な食文化そのものと言えるでしょう。














