手仕事で紡ぐ自立の絆。インドの母娘が立ち上げた「カラ・キ・ドール」の挑戦

インドのカンプルで、母娘が主導する小規模なクラフトプロジェクト「カラ・キ・ドール(Kala Ki Dor)」が、地元の女性たちの暮らしを静かに変えています。かつては家事や育児に追われ、収入を得る機会が限られていた女性たちに対し、編み物や刺繍といった技術を活かした「自宅でできる仕事」を提供しているのです。

この取り組みを始めたのは、銀行で働くリディマ・グプタさんと、その母アルチャナさんです。2020年のパンデミック下、困窮する地域住民を目の当たりにし、「自分に何ができるか」を模索したリディマさん。彼女はその後、近隣の女性たちが経済的な理由で子どもの教育に悩んでいる声を耳にします。そこで、かつて編み物などを趣味としていた母のアルチャナさんと協力し、伝統的なクラフトを収入源へと変える道を選びました。 現在では約30名の女性が参加し、鍵編みの花束や手作りのグリーティングカードなどを制作しています。特徴的なのは「ノルマを課さない」柔軟な働き方です。材料は自宅へ届けられ、自分のペースで制作できるため、家庭の責任と仕事を両立することが可能です。

「編み物」を通じて得た収入は、子どもたちの学費や生活費を支えるだけでなく、女性たちに「自分の力で稼いでいる」という自信と、家族からの新たな敬意をもたらしています。機械による大量生産が効率の指標となる現代において、この手作りの物語は、一つひとつの作品に込められた時間と忍耐に改めて光を当てています。














