パタゴニアの荒野に隠された「天然のスポンジ」。乾燥地を潤す湿地帯の重要性

南米パタゴニアの広大な荒野に、突如として現れる緑のオアシス――現地で「ベガス」や「マジン」と呼ばれる湿地帯が、地域の環境を支える重要な役割を果たしていることが、国際研究チームの調査で明らかになりました。

一見すると何気ない草原の一部に見えるこの湿地帯は、地下水によって潤されており、乾燥したパタゴニアのわずか4%ほどの面積を占めるに過ぎません。しかし、調査の結果、この土壌はアマゾンの熱帯雨林の土壌をも上回るほどの炭素を貯蔵していることが判明しました。さらに、冬から春にかけて溜め込んだ水分を夏場に少しずつ放出することで、家畜や野生動物にとって不可欠な「天然の貯水池」としても機能しています。 ところが、現在この貴重な場所が危機に瀕しています。主な要因は家畜の放牧による「過放牧」です。動物たちが絶えず地面を踏み固めることで土壌のスポンジ機能が損なわれ、本来の生産量の3分の1以下にまで草の成長が衰えてしまうケースも確認されています。研究チームはAIを活用した土壌診断モデルを開発し、今後この貴重なオアシスを保護するための管理指針を打ち出そうと取り組んでいます。過酷な気候の中でひっそりと守られてきたこの「緑のスポンジ」が、地域の持続可能な未来を握る鍵となりそうです。
















