テキサスの国境壁建設、帰還したクロクマの生態系にも深刻な影響の恐れ

テキサス州で1960年代に一度姿を消し、近年メキシコから再定着していたクロクマたちが、新たな存続の危機に瀕している。アルパインの境界地域研究所(BRI)の研究チームがGPS追跡を行ったところ、クロクマたちは国境を意識することなく、テキサスとメキシコの間を頻繁に行き来して広大なエリアを利用していることが判明した。特に注目すべきは、デビルズ川周辺からメキシコのブル・マウンテンまで往復する個体の存在だ。研究者のケイトリン・キャンプ・パパス博士らは、クロクマにとってこの地域は国境で分断されたものではなく、単一の生息圏であると指摘する。しかし、現在進められている高さ約9メートルの国境壁建設や車両用バリアの設置は、クマの移動を物理的に遮断するだけでなく、水飲み場や餌場へのアクセスを困難にする可能性がある。さらに、河川沿いの植生破壊により越冬用の巣穴が失われるリスクも高い。研究チームは、移動の制限が遺伝的多様性の低下や近親交配を招くことを懸念しており、クマが重要視している回廊を特定し、国境壁に修正を加えるなどの対策が必要だと訴えている。テキサスの野生の象徴として地元住民に歓迎されてきたクロクマの未来は、今、国境政策の大きな転換点に立たされている。













